求人を出しても集まらない、募集を止められない、辞めた分を埋めるだけで精一杯――飲食店の採用は、慢性的にこの状態が続きやすい領域です。コネクトが支援したカフェでは、前の代理店の原稿で有料広告費 約2万円・1ヶ月をかけて応募12件・採用0件でした。原稿と画像を作り直したところ、ほぼ同額の広告費・約半分の期間で応募17件・採用1名、クリック率は10.44%(一般的な水準の3倍超)に変わりました。本記事では、飲食の採用が難しい理由を構造から整理したうえで、応募を増やすために実際に効いた打ち手を解説します。
1. 飲食店の採用が難しい3つの構造

- 同じ人材層を、複数の業種で奪い合っている。接客経験がある人には、小売・サービス・コールセンター・物流など幅広い業種から声がかかります。飲食同士だけを見ていても、実際の競合はもっと広い範囲にいます。
- 労働時間と休日のイメージが実態より重く伝わっている。「長時間・土日祝が休めない・体力的にきつい」という先入観は、実際の勤務条件が見えないほど強く働きます。改善している店ほど、その事実を書かないと損をします。
- 仕事の中身が「ホール」「キッチン」で片づけられている。同じ飲食でも、業態・客単価・客層・任される範囲はまったく違います。そこが書かれていないと、求職者は他店との違いを判断できず、時給と勤務地だけで選ぶことになります。
このうち2つ目と3つ目は求人の作り方で直接変えられます。1つ目は市場の話であり、まずは自社が誰と比べられているかを把握するところから始まります。
2. 採用手段によって、費用の性質はまったく違う
| チャネル | 費用の発生の仕方 | 性質 |
|---|---|---|
| 求人媒体(自社運用・運用代行) | 掲載費または広告費。有料掲載はクリック課金が中心 | 採用の有無に関わらず広告費は発生するが、原稿の質で応募効率が大きく変わる |
| 成果報酬型の求人サイト | 採用が決まった時点で費用が発生 | 採用できなければ費用が出にくい。単価は職種により幅がある |
| 人材紹介エージェント | 採用時に理論年収の20〜35%。中途採用では1人あたり60〜120万円が目安 | 人数に比例して費用が膨らみ、採用ノウハウは社内に残りにくい |
紹介手数料の基準は理論年収の約2〜3割です(出典:厚生労働省『職業紹介事業報告』令和5年度 職種別手数料率)。飲食の店舗スタッフは母集団が一定ある職種のため、紹介に依存しなくても媒体運用で応募を集められる可能性が高い領域です。継続的に採用が必要な業態ほど、自社に応募が集まる状態を作る意味が大きくなります。
3. 難しい市場で効くのは「選ばれる理由」を作ること

飲食の採用で使われるのは、主に求人検索エンジンとそれに連携する採用管理ツールです。
| 媒体 | 仕組み | 費用の考え方 |
|---|---|---|
| Indeed | 求人検索エンジン。掲載後も原稿・予算をリアルタイムに調整できる運用型 | 無料掲載と有料掲載がある。有料はクリック課金で、クリックされた分だけ費用が発生する |
| Airワーク 採用管理 | 無料で採用ページを作成・応募管理でき、公開すると検索エンジンや求人検索エンジンに連携される | 基本機能は無料。露出を強化する場合に有料出稿を組み合わせる |
有料掲載はクリック課金なので、同じ予算でも原稿の質しだいで応募数が変わります。時給で並ぶ競合が多い飲食ほど、条件以外の「選ばれる理由」を書けているかが差になります。
- 立地と業態:駅からの距離、商業施設内か路面か、業態の世界観。他店が真似できない要素は必ず前に出す。
- 任される範囲:入社直後に何をして、半年後に何ができるようになるのか。
- 勤務条件の実態:シフトの組み方、希望休の通りやすさ、実際の退勤時刻。改善しているなら数字で書く。
- 働く人の様子:スタッフの年齢層や雰囲気は、応募をためらう理由になりやすい部分でもある。
4. 【事例】同じ広告費で、採用0から採用1へ

コネクトの支援先の事例です(社名は非開示)。
ビフォーアフター:有料広告費 約2万円×1ヶ月で応募12件・採用0件 → 媒体への広告費2万円・約2.5週間でクリック率10.44%・応募17件・面談2件・採用1名(有料広告費ベースの採用単価2万円)
| 大都市のターミナル駅直結の商業施設内カフェ/カフェスタッフ(正社員) |
| Before(導入前):別の求人代理店が作成した原稿で、有料広告費 約2万円・1ヶ月をかけて応募12件。しかし応募の質が合わず、採用は1件も決まらなかった。原稿は職務内容の羅列で、誰にどんな魅力を伝えるかが設計されていなかった。 After(媒体運用の改善後):原稿と画像を作り直した結果、媒体への広告費2万円・約2.5週間で表示8,130・クリック849(クリック率10.44%)、応募17件、面談2件を経て1名の採用に至った。 |
成功したポイントは次の4点です。
- 他店が真似できない立地(駅直結の大型商業施設内)を訴求の核に据え直し、「どこにでもあるカフェ」ではなく「ここで働く特別感」を打ち出した。
- 経験者を狙いながら、「最初から多くの仕事を一度に任せることはない」「思っているほどしんどい現場ではない」と、働き始めの不安に正面から答えて応募のハードルを下げた。
- 求職者が最初に目にする一番大きな画像を、店舗からの眺望が伝わる写真に差し替えた。
- 見出しに月給と「飲食経験者を待遇で評価する」というメッセージを明記し、数秒で自分向けの求人だと判断できるようにした。
投じた広告費はほぼ同額です。それでも採用0と採用1に分かれたのは、原稿・画像・ターゲット設計の差でした。 なお同じ店舗でパート募集も並行して運用しており、店舗合算では媒体への広告費7万円で応募33件・面談6件・採用4名に至っています。
5. 見せ方で伸ばせる範囲と、条件の見直しが要る範囲
一方で、原稿改善が効いた後に応募が落ちていく場合もあります。コネクトの別の支援先では、導入当初は応募が0〜1件から月7〜8件まで伸びたものの、その後に競合の給与水準が上がると応募が漸減しました。原稿は変えていないにもかかわらず、です。
ここから分かるのは、見せ方は応募の天井を引き上げるが、天井の高さ自体は給与・労働条件・市場の母数で決まるということです。飲食でも同じで、地域相場に対して時給・月給や休日条件が明らかに見劣りする場合は、条件の見直しまで踏み込むことで、さらなる伸び代が生まれます。
逆に、条件が地域相場の範囲内にあるなら、原稿と写真の設計を変えるだけで応募は動きます。まずは同エリアの飲食・小売・サービスの求人を並べて、自社がどの位置にいるかを確認してください。
6. 応募を増やすための具体策

- 同エリアの飲食・小売・サービスの求人を10件並べ、時給・シフト・休日で自社が何番目かを確認する。
- 店で長く働いているスタッフの共通点(前職・志向・生活スタイル)を書き出す。
- 業態・客単価・客層・任される範囲を具体的に書き、他店との違いを言語化する。
- シフトの組み方、希望休の通りやすさ、実際の退勤時刻を数字と具体例で書く。
- 店内・スタッフ・料理の写真を撮り直し、最初の1枚を「ここで働きたい」と感じる写真にする。
- 経験者を狙う場合も「最初から多くは任せない」と不安に先回りする一節を入れる。
- 応募が入ったら当日中に連絡する運用に切り替える。
まとめ
飲食店の採用が難しい理由と、その打ち手は次のとおりです。
- 競合は飲食だけではない:接客経験者は小売・サービス・物流など幅広い業種から声がかかる。
- 先入観を実態で上書きする:労働時間・休日を改善しているなら、数字で書かないと伝わらない。
- 「ホール」「キッチン」では選ばれない:業態・客単価・客層・任される範囲を書き、他店との違いを示す。
- 立地は最大の武器になる:他店が真似できない要素は必ず訴求の核に据える。
- 応募ハードルを下げる:「最初から多くは任せない」と働き始めの不安に先回りする。
同じ広告費でも、採用0と採用1に分かれます。差を生むのは費用ではなく、原稿・画像・ターゲット設計です。
人材紹介の60〜120万を、面談着座8万に。
ジョブコネクトは、求人媒体の原稿制作と運用を代行し、応募を集めるところまでを担う採用支援です。応募者への対応・面談は御社で実施していただき、面談に着座した時点で費用が発生します。初期費用・月額固定費はかかりません。費用は面談着座1件あたりパート3万円/正社員8万円から。まずは自社の求人が競合と並んだときにどう見えるかを一緒に確認しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 飲食は求人媒体だけで採用できますか?
A. 飲食の店舗スタッフは母集団が一定ある職種のため、求人媒体の運用で応募を集められる可能性は高いです。コネクトの支援事例では、媒体への広告費2万円・約2.5週間で応募17件・採用1名、パート募集と合わせた店舗合算では広告費7万円で採用4名に至っています。
Q. 労働時間の実態を書くと、かえって敬遠されませんか?
A. 書かないほうが敬遠されます。飲食は「長時間・休みにくい」という先入観を持たれやすいため、実態が書かれていないと求職者は最悪のケースを想像します。改善している店ほど、シフトの組み方や実際の退勤時刻を数字で示すことが有利に働きます。
Q. 経験者に絞ると応募が減りませんか?
A. 絞り方によります。コネクトの支援事例では、経験者を狙いながら「最初から多くの仕事を一度に任せることはない」と働き始めの不安を打ち消したことで、応募を12件から17件に増やしつつ採用0→1を実現しました。狙う層を絞ることと、応募の敷居を下げることは両立できます。
Q. 自社の業種でも効果は出ますか?
A. 応募の母集団が一定ある職種(製造・保育・建設・販売・サービスなど)であれば、求人媒体の運用改善で応募増・コスト削減が見込めます。一方、医師や1級施工管理技士のように母集団が極小の職種は媒体運用では費用対効果が出にくいため向きません。(参考:定着率と応募数を同時に上げる採用支援の新常識)