施術スタッフを1人採用するのに、年間の求人予算をどれだけ使っているか。整体院の規模だと、この数字が経営に直結します。コネクトの支援実績では、年間約40万円の広告費をかけても採用ゼロだった店舗が、同程度の広告費の枠内で採用3名まで到達しました。店舗・サービス系の他の案件では、有料広告費ベースの採用単価が実質0円〜約1.9万円という例もあります。本記事では、この実数を起点に、整体院の採用単価がどう決まるのか、そしてコストを抑えて採用するにはどうするかを解説します。
1. まず自社実績の実数から:施術系の採用単価はいくらか

整体師・施術スタッフについて、公的な職種別の採用単価は限定的です。そこで、コネクトが実際に支援した店舗・サービス系の案件から、有料広告費用ベースの数字を先に示します。
- セラピスト(業務委託・完全歩合/地方2店舗):年間約40万円の広告費で採用ゼロ → 同程度の広告費の枠内で採用3名。約1.5年の継続支援で、見学は累計10件以上。
- 参考|アルバイト・パートの店舗スタッフ:媒体への広告費18,973円で1名採用(採用単価 約1.9万円)。個人経営の小規模店での実績。
- 参考|未経験・小規模事業者の現場職:無料掲載のみで採用2名(有料広告費ベースの採用単価は実質0円)。約1ヶ月で応募10件・面談3件から。
同じ年40万円で、採用ゼロにも採用3名にもなります。 金額そのものは変えていません。単価を決めているのは予算ではなく、募集職種・雇用形態の設計と伝え方です。
つまり施術系の採用単価は、条件が揃えば数万円台まで下がり得る一方、募集設計が噛み合わないと「そもそも算出できない(採用ゼロ)」状態が続きます。相場という一本の数字を探すより、何が単価を押し上げているかを見るほうが実務的です。
2. 経営から見ると「採れないこと」自体にコストがある

採用単価を考えるとき、求人にかかった費用だけを見ると判断を誤ります。少人数で回す整体院では、1名採れないことによる損失のほうが大きくなることがあるためです。
- 受けられなかった予約:施術枠が埋まらず断っている予約があるなら、それは毎月発生し続けている機会損失です。
- 既存スタッフの負荷:人が足りない状態が続くと、既存スタッフの離職リスクが上がります。1名の欠員が2名の欠員になると、回復にかかる時間も費用も跳ね上がります。
- 募集を出し続ける固定費:採用に至らないまま掲載を続ければ、広告費だけが毎月積み上がります。
この観点で見ると、「採用単価を下げる」よりも先に「そもそも採用が成立する状態を作る」ほうが優先度が高くなります。年40万円かけて採用ゼロという状態は、単価が高いのではなく、単価が算出できていない状態です。
3. 採用単価の計算方法とチャネル別の目安
採用単価は、採用にかかった費用を採用人数で割った数字です。何を費用に含めるかで結果が変わるため、院内で定義を揃えます。
| 費目 | 含めるもの | 注意点 |
|---|---|---|
| 媒体費・広告費 | 求人媒体の掲載費、有料掲載のクリック課金分 | 採用に至らなかった期間の広告費も分母に入れるかを決めておく |
| 人材紹介手数料 | 採用時に発生する成功報酬 | 理論年収の20〜35%。中途で1人あたり60〜120万円が目安 |
| 採用支援の成果報酬 | 運用代行・成果報酬型サービスへの支払い | 課金タイミング(応募/面談着座/採用)で総額の読みやすさが変わる |
| 院内工数 | 求人作成・応募対応・見学対応にかかる時間 | 施術の合間に対応する場合、施術できなかった枠の機会損失も含めて考える |
| チャネル | 1人あたりの費用感 | 性質 |
|---|---|---|
| 求人媒体(運用改善あり) | コネクトの店舗・サービス系支援実績では、実質0円〜約1.9万円という事例がある。ただし業務委託×地方では採用ゼロになる期間も生じる | 原稿と募集設計で大きく振れる。改善の余地が最も大きい |
| 成果報酬型の求人サイト | 職種により幅がある(採用時に費用が発生) | 採用できなければ費用が出にくいが、単価は職種依存 |
| 人材紹介エージェント | 理論年収の20〜35%。中途で60〜120万円が目安 | 1名の手数料が年間求人予算を上回ることもある |
紹介手数料の基準は理論年収の約2〜3割です(出典:厚生労働省『職業紹介事業報告』令和5年度 職種別手数料率)。参考として、中途採用の1人あたり単価は103.3万円という調査もあります(出典:就職白書2020(doda経由))。院の規模によっては、紹介1名分の費用で1年分の求人運用がまかなえる計算になります。
4. 【事例】同じ広告費の枠内で、採用ゼロから3名へ

コネクトの支援先の事例です(社名は非開示)。
ビフォーアフター:年間約40万円の広告費で応募ゼロ・採用ゼロ → 同程度の広告費の枠内で応募が継続発生、見学累計10件以上、採用3名(うち1名が定着)
| 西日本の地方都市のリラクゼーション・マッサージ店(2店舗)/セラピスト(業務委託・完全歩合制) |
| Before(導入前):年間約40万円の広告費をかけても応募が1件も来ず、採用もゼロ。業務委託・完全歩合という条件が応募のハードルを上げ、どう稼げるのか・どんな施術をするのか・技術をどう身につけるのかが伝わっていなかった。 After(媒体運用の改善後):原稿の継続改善により応募が継続的に発生する状態になり、約1.5年の支援を通じて見学が累計10件以上、採用3名に至った(うち1名が定着して継続勤務中)。 |
成功したポイントは次の3点です。
- 歩合制の最大の不安「ちゃんと稼げるのか」を、歩合率65%・控えめな試算でも月収30万円以上・指名率の高さが予約と収入の安定につながることを、原稿の冒頭で数字とともに示して解消した。
- 業務委託を「手に職をつけて自分で稼ぐ働き方」と意味づけ直し、雇用形態の弱みを魅力のストーリーに変えた。
- 施術内容・1日のタイムスケジュール・技術習得の道筋を具体化し、あわせて夜間勤務可の方・ダブルワーク希望者へターゲットを広げて反応する母数を増やした。
広告費は変えていません。同じ枠内で採用ゼロから3名まで動いたことが、この案件の費用対効果です。
5. さらなる伸び代:定着まで含めた実質単価
この事例には、原稿では動かせない部分も残っています。誠実にお伝えします。
- 定着で実質単価が変わる:採用3名のうち2名は早期に離職しています。定着した人数で割り直すと実質的な単価は上がります。完全歩合は軌道に乗るまでの収入が不安定になりやすく、向き不向きも出ます。
- 母数の薄さ:業務委託に踏み出せる人が少なく、地方でさらに薄いという構造は原稿では変えられません。広告費を増やしても比例して伸びにくい領域です。
採用単価を本当に下げたいなら、雇用形態と報酬設計まで踏み込む価値があります。 固定部分の導入、研修期間中の収入補填、独立支援制度の明文化。これらは求人の外側の打ち手ですが、母数と定着の両方に効くため、さらなる伸び代がここにあります。
6. 採用単価を抑えて採用する進め方

- 直近1年の求人費を洗い出し、採用に至らなかった期間の広告費も含めて実質単価を出す。
- 1名採れないことによる機会損失(断っている予約・既存スタッフの負荷)を金額で見積もる。
- 募集職種を、資格必須のものと資格不問のものに分けて別々に出す。
- 雇用形態を見直し、固定部分を設けられないか検討する。
- 収入を計算できる状態にする。歩合率、控えめな試算での月収、指名時の変化を書く。
- 施術内容・1日の流れ・技術習得の道筋という素材を揃えてから原稿を作り直す。
- 課金タイミングの合うサービスを選び、費用と成果の対応を読める状態にする。
採用支援サービスの成果報酬は、応募課金・面談着座課金・採用課金のどこで発生するかによって性質が変わります。応募課金は要件に合わない方の応募にも費用が発生するため総額が読みにくくなりがちです。コネクトが面談着座成果報酬という体系を取っているのは、質と費用対効果を両立させるためです。
まとめ
整体院の採用単価について、押さえておきたい点は次のとおりです。
- 実数:コネクトの支援実績では、年40万円で採用ゼロだった店舗が同じ広告費枠内で採用3名へ。店舗・サービス系では実質0円〜約1.9万円という事例もある。
- 採れないこと自体がコスト:断っている予約と既存スタッフの負荷を金額で見積もると、優先順位が変わる。
- 紹介1名分で1年運用できることもある:人材紹介は中途で1人あたり60〜120万円が目安。院の規模では大きな比重になる。
- 実質単価は定着で決まる:早期離職が出れば単価は上がる。定着した人数で割り直して見る。
- 設計で単価は動く:募集職種の切り分け・雇用形態・収入の見せ方。予算を増やすより先に手を入れる。
同じ40万円で採用ゼロにも採用3名にもなります。まずは「採用が成立する状態」を作ることが、単価を下げる最短ルートです。
人材紹介の60〜120万を、面談着座8万に。
ジョブコネクトは、求人媒体の原稿制作と運用を代行し、応募を集めるところまでを担う採用支援です。応募者への対応・見学対応・面談は御院で実施していただき、面談に着座した時点で費用が発生します。初期費用・月額固定費はかかりません。費用は面談着座1件あたりパート3万円/正社員8万円から。まずは現在の採用単価を一緒に見える化しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 整体院の採用単価の相場はいくらですか?
A. 公的な職種別の採用単価は限定的です。コネクトの支援実績では、店舗・サービス系で有料広告費ベースの採用単価が実質0円〜約1.9万円という事例がある一方、業務委託×地方の施術者募集では年間約40万円の広告費をかけても採用ゼロという期間がありました。設計を変えたところ、同程度の広告費の枠内で採用3名まで到達しています。
Q. 人材紹介と求人媒体、どちらが院に合いますか?
A. 採用の頻度によります。人材紹介は採用時に理論年収の20〜35%(中途で1人あたり60〜120万円が目安)が発生するため、院の規模では1名分の手数料が年間の求人予算を上回ることもあります。継続的に採用が必要なら、媒体運用で自院に応募が集まる状態を作るほうが長期的なコストを抑えやすくなります。
Q. 早期離職が出た場合、採用単価はどう考えればいいですか?
A. 定着した人数で割り直すと実質的な単価が見えます。完全歩合は軌道に乗るまでの収入が不安定になりやすく、向き不向きも出るため早期離職が起きやすい構造があります。求人側では収入の立ち上がり方を正直に書いてギャップを減らし、院側では固定部分の導入や研修期間中の補填を検討するのが打ち手になります。
Q. 自社の業種でも効果は出ますか?
A. 応募の母集団が一定ある職種(製造・保育・建設・販売・サービスなど)であれば、求人媒体の運用改善で応募増・コスト削減が見込めます。一方、医師や1級施工管理技士のように母集団が極小の職種は媒体運用では費用対効果が出にくいため向きません。(参考:成果報酬型で「応募が来ない」を変える採用の考え方)