「1人採るのにいくらかかっているのか」を正確に答えられる建設会社は、そう多くありません。人材紹介の手数料、求人媒体への広告費、社内の工数が混ざったままだと、どこを削ればよいかも判断できないままになります。コネクトの支援先では、大阪府の造園・伐採業が有料広告費ゼロ(求人媒体の無料掲載のみ)で約1ヶ月に応募10件・面談3件・採用2名に至り、有料広告費ベースの採用単価は実質¥0でした。一方、有資格者を狙う地方都市の中堅建設会社では応募単価が¥57,505と、同じ現場系でも狙う層によって数字はまったく変わります。本記事では、採用単価の計算方法と、建設業における相場データの現状を整理したうえで、コストを抑えて人を採る方法を解説します。
1. 採用単価とは?まず計算式で分解する

採用単価とは、1人を採用するのにかかった費用のことです。計算式そのものはシンプルです。
採用単価 =(求人媒体への広告費 + 人材紹介の手数料 + 社内工数の人件費)÷ 採用人数
- 求人媒体への広告費:Indeed・Airワーク・各種求人サイトに支払う費用。無料枠を使えばゼロにもなる。
- 人材紹介の手数料:採用1人ごとに発生。理論年収の20〜35%が一般的で、中途では60〜120万円が目安。
- 社内工数の人件費:求人作成・応募対応・面接調整にかかる担当者の時間。見えにくいが確実にコスト。
重要なのは、これを職種ごとに算出することです。建設業では施工管理などの有資格者と現場作業スタッフで市場の状況がまったく違うため、会社全体で平均すると実態が見えなくなります。
2. 建設業の採用単価の相場は、どこまで分かっているか
建設業に特化した公的な採用単価の公表値は限定的です。厚生労働省が公表している職種別のデータも看護・保育・介護などが中心で、建設職としての区分はありません。ただし、実務の相場観は自社の実数から具体的に置けます。コネクトの支援先では、未経験可の現場職で有料広告費ベースの採用単価が実質¥0、有資格者の施工管理では応募1件あたり¥57,505と、狙う層によって桁が変わる差が出ています。以下では、全職種横断のデータで枠組みを押さえたうえで、その実数を示します。
| データ | 1人あたりの数値 | チャネル・母集団のラベル |
|---|---|---|
| 中途採用単価(全職種横断) | 103.3万円 | 就職白書2020。媒体費・紹介手数料などを含む総額ベースの調査値 |
| 求人広告のみで採用した中途 | 約31.2万円 | マイナビ調査。求人広告というチャネルに限定した数値 |
| 人材紹介の手数料 | 理論年収の20〜35%=中途で60〜120万円 | 人材紹介エージェント経由・常勤ベースの手数料。社内工数を含む総コストではない |
出典は、中途採用単価が就職白書2020(doda掲載)、手数料率が厚生労働省『職業紹介事業報告』令和5年度 職種別手数料率です。数字を扱うときは、チャネル(媒体か紹介か)と母集団(常勤かパート込みか)のラベルを必ずセットにしてください。混ぜて比較すると判断を誤ります。
参考として、厚生労働省の令和5年度データにおける公的平均(パート込み混在・全国)は、看護師63.9万円・保育士64.6万円・介護福祉士55.1万円です。建設職の区分はなく、またチャネルも母集団も異なるため、人材紹介の手数料相場とそのまま並べて比較することはできません。
3. コネクトの支援実績で見る、現場系の実際の数字

ここからはコネクトの支援先の実数です。同じ現場系でも、狙う層によって採用単価はまったく違う水準になります。まずは未経験を狙ったケースです。
ビフォーアフター:過去は大手系媒体への数十万円の単発出稿のみ → 有料広告費ゼロ(無料掲載のみ)で約1ヶ月に応募10件・面談3件・採用2名。有料広告費ベースの採用単価は実質¥0。
| コネクトの支援先|大阪府の造園・伐採業/伐採作業スタッフ(正社員・未経験向け) |
| Before(導入前):過去は大手系の求人媒体に数十万円かけて単発出稿した程度。経験者は他社との条件競争にさらされており、媒体への広告費をかけない無料枠での獲得は難しい状況だった。 After(媒体運用の改善後):未経験ターゲットへ方針転換し、求人原稿とバナー画像を新規制作。求人媒体の無料掲載のみ(有料広告費ゼロ)で、約1ヶ月に応募10件・面談3件・採用2名。有料広告費ベースの採用単価は実質¥0。 |
この事例で成功したポイントは、次の3点です。
- 経験者は条件競争になり無料枠では採れないと見切り、設計しだいで勝てる未経験市場へ絞った。
- 原稿本文では書きづらいエリア・年齢の絞り込みをバナー画像で訴求し、対象者にピンポイントで届けた。
- 未経験者が抱く不安(危険・技術・教育体制)を原稿内で先回りして解消し、検討する母数を広げた。
広告費の多寡ではなく、設計が採用単価を決めるということです。
一方、有資格者を狙うと数字の景色は変わります。
ビフォーアフター:別代理店時代は応募ゼロ・予算も消化しきれず → 新原稿投入後は応募3〜4件、CTRは2%前後から3.30%へ。前期の有料広告は媒体への広告費¥172,515で応募3件(応募単価¥57,505)。
| コネクトの支援先|地方都市の中堅建設会社/建築施工管理(正社員) |
| Before(導入前):別の求人代理店の原稿で応募ゼロが続き、有料広告の予算を組んでも消化しきれない状態だった。 After(媒体運用の改善後):原稿とターゲットの再設計後、前期の有料広告は表示6,273・クリック133・CTR2.12%・応募3件、媒体への広告費 利用済み¥172,515(応募単価¥57,505)。継続配信中の広告は予算¥327,000に対し消化率約40%。採用は選考・検証中のため、採用単価は未確定。 |
さらなる伸び代もあります。応募単価が高止まりし、予算を組んでも消化しきれないのは、運用の優劣ではなく、有資格者が市場に薄く大手と給与で競合するという前提によるものです。給与・条件の見直しまで踏み込めば、さらに伸ばせる余地があります。
4. 採用単価を下げる5つの方法

- 職種ごとに採用単価を算出する(会社全体の平均では判断を誤る)。
- 媒体で採れる職種は自社に寄せ、人材紹介への依存度を下げる。
- 求人原稿とターゲット設計を作り直す(同じ広告費でも応募数は変わる)。
- 母数のある層(若手・未経験など)へ軸足を移し、勝てる土俵を選ぶ。
- 成果報酬の課金タイミングを見直し、費用対効果を読みやすい形にする。
多くの会社で効果が大きいのは2番目と3番目です。人材紹介の手数料は採用人数に比例して膨らむ一方、求人媒体は原稿と運用の改善で「かける額」を増やさずに応募を増やせます。お金を足すより、かけ方を変えるほうが採用単価は下がります。
5. 課金タイミングで、採用単価の読みやすさは変わる
採用支援サービスの成果報酬は、どの時点で課金されるかによって費用対効果の読み方が変わります。人材紹介は採用が決まった時点で課金する形が主流で、近年は求人用SNSの運用などとあわせた応募課金型のサービスも増えています。
| 課金タイミング | 費用の発生時点 | 建設業での費用対効果の読み方 |
|---|---|---|
| 応募課金 | 応募が入った時点 | 要件に合わない方の応募にも費用が発生し、1人あたりの単価が読みにくい |
| 面談着座課金 | 書類選考を通過し、面談に着座した時点 | 選考が進んだ候補者にのみ費用が発生し、単価の見通しを立てやすい |
| 採用課金 | 採用が決まった時点 | 1件あたりが高額になりやすい。人材紹介で主流の形 |
建設業は資格・免許・体力条件など要件が明確な分、条件の合わない応募も混ざりやすい職種です。応募課金型ではその分にも費用が発生し、費用対効果が読みにくくなります。だからコネクトは、質と費用対効果を両立させる「面談着座成果報酬」という料金体系を採っています。費用は面談着座1件あたりパート3万円/正社員8万円から、初期費用・月額固定費はゼロです。
媒体はIndeed(求人広告)とAirワーク 採用管理を軸に運用します。コネクトが担うのは応募を集めるところまでで、応募者への対応・面談はクライアントが実施します。媒体への広告費はクライアント負担となるため、費用対効果は「有料広告費用ベースの採用単価」で見ていきます。
6. 媒体運用で単価が合わない職種は、無理に寄せない

採用単価を下げる話の裏返しとして、媒体運用が向かない職種もあります。コネクトでは、1級施工管理技士のように母集団が極小の職種を媒体運用の対象外としています。検索する人が極端に少ないためクリック単価が上がりやすく、費用対効果が出にくいからです。
ただし、これは建設業全体の話ではありません。資格を必須としない現場作業員・施工補助・重機オペレーターなど母数のある職種は、媒体運用で十分に単価を抑えて採用できる射程にあります。対象外なのはあくまで母集団が極小の資格職に限られます。
建設業でこの層を採りたい場合は、媒体で無理に単価を追うのではなく、給与・条件の見直しや社員紹介など別の手段と組み合わせて検討するほうが現実的です。一方、現場作業スタッフのように母数のある職種であれば、設計しだいで有料広告費ゼロでも採用まで届きます。
どの職種を媒体に載せ、どの職種は別の手段に回すか。この見極めが、そのまま会社全体の採用単価に効いてきます。
まとめ
建設業の採用単価について押さえるべき点は、次のとおりです。
- 相場データの現状:建設業に特化した公的な採用単価の公表値は限定的。横断データと自社実績で組み立てる。
- 数値はラベルとセット:中途採用単価103.3万円(全職種横断)、求人広告のみ約31.2万円、人材紹介の手数料は理論年収の20〜35%=60〜120万円(常勤ベースの手数料)。
- 単価は狙う層で変わる:支援先では未経験採用が有料広告費ベースで実質¥0、有資格者採用は応募単価¥57,505。
- 下げ方の軸:職種別に単価を出し、媒体で採れる職種を自社に寄せ、原稿とターゲットを作り直す。
- 対象外は切り分ける:1級施工管理技士など母集団が極小の職種は媒体運用に向かない。
採用単価は「いくらかけるか」より「どこにかけるか」で決まります。まずは職種ごとに1人あたりの単価を出すところから始めてみてください。
人材紹介の60〜120万を、面談着座8万に。
人材紹介の60〜120万を、面談着座8万に。コネクトは「採れなければ費用ゼロ」の面談着座成果報酬で、人材紹介に頼らない採用を支援します。初期費用・月額固定費はかかりません。費用は面談着座1件あたりパート3万円/正社員8万円から。求人媒体の運用で応募を集めるところまでを担い、応募者への対応・面談は御社で実施いただく形です。まずは職種別の採用単価を一緒に見える化しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 建設業の採用単価の相場はいくらですか?
A. 建設業に特化した公的な採用単価の公表値は限定的です。全職種横断では、中途採用単価が1人あたり103.3万円(就職白書2020)、求人広告のみで採用した場合は約31.2万円(マイナビ調査)という数値があります。人材紹介を使う場合は、理論年収の20〜35%(中途で60〜120万円)の手数料が別途発生します。いずれもチャネルと母集団が異なるため、混ぜて比較しないことが重要です。
Q. 採用単価はどう計算すればいいですか?
A. 求人媒体への広告費・人材紹介の手数料・社内工数の人件費を合計し、採用人数で割ります。建設業では施工管理などの有資格者と現場作業スタッフで市場の状況が大きく異なるため、会社全体の平均ではなく職種ごとに算出することが重要です。
Q. 広告費をかけずに採用することはできますか?
A. 職種と設計しだいで可能です。コネクトの支援先では、造園・伐採業の未経験向け求人が求人媒体の無料掲載のみ(有料広告費ゼロ)で、約1ヶ月に応募10件・面談3件・採用2名に至りました。ただし施工管理などの有資格者のように母数が薄い職種では、無料枠だけでの獲得は難しくなります。狙う層によって現実的な進め方は変わります。
Q. 自社の業種でも効果は出ますか?
A. 応募の母集団が一定ある職種(製造・保育・建設・販売・サービスなど)であれば、求人媒体の運用改善で応募増・コスト削減が見込めます。一方、医師や1級施工管理技士のように母集団が極小の職種は媒体運用では費用対効果が出にくいため向きません。(参考:成果報酬型で「応募が来ない」を変える採用の考え方)