同じ求人を出しても、以前ほど人が集まらない。工場・製造現場の採用では、担当者の努力とは別のところで難易度が上がっています。コネクトの支援先である大阪府の印刷・製版会社(ものづくりの現場職)では、求人原稿の作り直しと媒体運用で有料広告費用5万円・応募35件・1面談で1採用という成果が出た一方、勤務地が出向先で職場の素材が乏しかった案件では、有料広告費用25万円で応募17件と結果が分かれました。難易度は職種や条件によって構造的に決まります。本記事では、工場の採用が難しくなっている理由を市場構造から整理し、そのうえで自社が取れる具体策を解説します。
1. 工場の採用が難しいのは、担当者の腕前の問題ではない

工場の採用が難しくなっている背景には、個社の努力では動かしにくい3つの構造があります。
- 同じ人材を、業種をまたいで奪い合っている:製造・物流・小売・飲食など、現場系の仕事は求職者から見て地続きです。工場の求人は、同業他社だけでなく他業種の求人とも並べて比較されます。
- 応募の天井は給与・条件で決まる:求職者は同じ地域・同じ通勤圏の求人を並べて比べます。求人の見せ方は応募の天井を引き上げますが、天井の高さ自体は給与・労働条件・雇用形態で決まります。
- 仕事の中身が外から見えない:工場は求職者が日常的に立ち入る場所ではありません。何を作り、どんな設備で、どんな人が働いているのかが分からないため、応募の判断材料が不足します。
このうち3つ目は、求人原稿と写真で確実に改善できます。1つ目と2つ目は市場側の条件なので、その前提を理解したうえで戦い方を決める必要があります。
2. 人材紹介に頼ると採用費はどう積み上がるか
採用が難しくなるほど、人材紹介への依存度は上がります。ただし、その構造上、採用人数に比例して費用が膨らみます。
人材紹介の手数料は理論年収の20〜35%が一般的で、中途採用では1人あたり60〜120万円が目安です(出典:厚生労働省『職業紹介事業報告』令和5年度 職種別手数料率)。工場の現場職は一度に複数名を採用することが多く、5名採れば手数料だけで数百万円規模になります。
参考として、中途採用単価は1人あたり103.3万円(就職白書2020)、求人広告のみで採用した場合の中途採用単価は約31.2万円(マイナビ)という調査があります。同じ1名の採用でも、どのチャネルを使うかで単価は大きく変わります。
つまり工場の採用では、「採れない」ことに加えて「採れたときの単価が高い」ことが同時に効いてきます。難易度が高い市場ほど、チャネルの配分を意識的に設計する必要があります。
3. 採用代行の4類型と、工場採用でどれを選ぶか

採用業務を外部に任せる場合、任せる範囲によって4つの類型に分かれます。費用も、社内に残るノウハウも変わります。
| 類型 | 担う範囲 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 媒体運用型 | 求人媒体の原稿作成・運用(応募集めまで) | 費用を抑えやすく、採用ノウハウが自社に残る | 応募者対応・面談は自社で行う |
| 応募対応型 | 媒体運用+応募者への連絡・日程調整 | 採用担当の工数を大きく削減できる | 費用が上がる |
| 面談代行型(フルRPO) | 初回面談まで代行 | 採用業務をほぼ任せられる | 費用が高く、ノウハウが残りにくい |
| 人事・採用コンサル型 | 採用戦略の設計や人事業務全般を支援 | 採用以外も含め体制を強化できる | 費用が最も高くなりやすい |
工場・製造現場のように継続的に募集が発生する職種では、募集のたびに外部へ丸ごと委ねるより、原稿と運用のノウハウが社内に残る形のほうが中長期のコストは下がります。コネクトは媒体運用型で、求人媒体の原稿制作・運用で応募を集めるところまでを担い、応募者対応・面談はクライアント側で実施いただきます。なお、こうした採用支援は職業紹介とは異なり、許認可を要しない形態です。
4. 媒体運用が向く職種と、向かない職種を正直に分ける
求人媒体の運用は万能ではありません。成果が出るかどうかは、その職種に「探している人がどれだけいるか」という母集団の大きさで決まります。
- 向いている職種:製造・工場のオペレーター、組立・加工、検査、フォークリフト・構内物流、設備保全の一部など、一定の母集団があり未経験からの転職も起こる職種。
- 向いていない職種:母集団が極端に小さい職種(医師、1級施工管理技士など)。探している人自体が少ないためクリック単価が高騰し、費用対効果が出ません。
工場の現場職の多くは前者に入ります。だからこそ、媒体運用でまだ手を付けられる改善余地が大きいと言えます。逆に、資格保有者が市場に極端に少ない専門職まで媒体運用で追いかけると、費用だけが積み上がります。ここは無理に媒体へ誘導せず、チャネルを切り分けるのが現実的です。
| 主な媒体 | 仕組み | 工場採用での使いどころ |
|---|---|---|
| Indeed | 求人検索エンジン。掲載後も原稿・予算をその都度調整できる運用型。有料掲載はクリック課金。 | 職種名や訴求を変えながら反応を検証しやすく、母集団のある現場職と相性が良い。 |
| Airワーク 採用管理 | 無料で自社の採用ページを作成・応募管理でき、公開すると検索エンジンやIndeedに連携される。 | 写真や職場情報を載せた自社ページを持てるため、外から見えにくい工場の中身を伝えやすい。 |
5. 難しい市場でも成果が分かれる要因

市場条件が同じでも、結果は分かれます。コネクトの支援先で、同じ会社・同じ設計思想でありながら成果が分かれた2つの案件を紹介します。
ビフォーアフター:素材が揃った案件は有料広告費用5万円で応募35件・1面談=1採用/素材が乏しかった案件は有料広告費用25万円で応募17件
| コネクトの支援先|大阪府の印刷・製版会社(ものづくりの現場職・正社員) |
| Before(導入前):求人の経験がほとんど無く、既存原稿は事実の羅列でターゲット像も訴求の意図も設計されていなかった。別案件では勤務地が出向先で、職場の写真・現場情報といった素材が乏しかった。 After(媒体運用の改善後):現場ヒアリングから原稿を新規制作した案件は、有料広告費用5万円で応募35件、面談1名がそのまま採用に至った。素材が乏しかった出向先の案件は、有料広告費用25万円で応募17件、1名の内定は出たが辞退により採用には至らなかった。 |
成功したポイント
- 現場ヒアリングで、その職場でしか語れない強みを一次情報として引き出した。
- 「修正対応に疲弊した中堅人材」という具体的な痛みを言語化し、動機の合う人だけが応募する設計にした。
- 同じ職種名でも会社ごとに違う仕事の中身を開示し、入社後を想像できる解像度にした。
- 文章では伝わりにくい職場環境の良さを、画像に入れ込んで一目で見せた。
さらなる伸び代は、クライアント側で用意できる素材の量にあります。出向先の案件で応募効率が伸びなかったのは運用の差ではなく、写真や現場情報という見せる材料が集まらなかったためです。現場写真や設備・働く人の情報が揃えば、同じ広告費でも応募効率は上がります。素材のご提供は、広告費と採用コストを下げるための投資と位置づけています。
6. 工場の採用で今日から取れる具体策

- 同じ通勤圏・同じ職種の求人を10件並べて読み、自社の給与・休日・条件がどの位置にあるかを把握する。
- 条件で勝てない部分は、条件以外の魅力(通勤のしやすさ、残業の少なさ、教育体制、扱う製品の面白さ)を言語化して補う。
- 現場に入って写真を撮り直す。設備・休憩室・働く人の年齢層など、外から見えない情報を優先して押さえる。
- 職種名を、求職者が検索する言葉に合わせて書き直す。
- 合う人・合わない人を明記し、動機の合う応募だけが集まる状態にする。
- 応募があったら当日中に一次連絡を返す。求職者は3〜5社に同時応募するのが標準です。
- 母集団が極端に小さい職種は媒体運用に固執せず、チャネルを分けて判断する。
採用が難しい市場では、「採れない原因」を市場のせいにも担当者のせいにもせず、動かせる部分と動かせない部分を分けることが出発点になります。
まとめ
工場の採用が難しい理由と、その中で取れる打ち手を整理します。
- 市場構造:現場系の人材は業種をまたいで奪い合いになっており、工場の求人は他業種とも比較される。
- 応募の天井:見せ方は応募の天井を引き上げるが、天井の高さ自体は給与・労働条件・雇用形態で決まる。
- 見えにくさ:工場は外から中身が見えないため、写真と仕事内容の具体化で改善余地が大きい。
- コスト構造:人材紹介は理論年収の20〜35%(中途で60〜120万円)が目安で、採用人数に比例して積み上がる。
- 任せ方の選択:採用代行は4類型あり、継続採用が発生する工場ではノウハウが社内に残る形が有利。
- 向き不向き:母集団が極小の職種は媒体運用に向かない。無理に追わずチャネルを分ける。
難しいのは事実ですが、動かせる要素は残っています。まずは条件面の立ち位置を確認し、そのうえで見せ方と素材を整えるところから始めてください。
人材紹介の60〜120万を、面談着座8万に。
コネクトは、求人媒体の原稿制作・運用で応募を集めるところまでを担う採用支援です。初期費用・月額固定費はかかりません。費用は面談着座成果報酬で、面談着座1件あたりパート3万円/正社員8万円から。自社の職種が媒体運用に向くかどうかの見極めからご相談いただけます。
よくある質問(FAQ)
Q. 工場の採用が難しいと言われるのはなぜですか?
A. 現場系の人材は製造・物流・小売・飲食などをまたいで奪い合いになっており、工場の求人は他業種の求人とも比較されるためです。加えて、工場は求職者が日常的に立ち入る場所ではなく、仕事の中身が外から見えないことも応募の障壁になります。
Q. 工場の採用に人材紹介を使うと、1人あたりいくらかかりますか?
A. 人材紹介の手数料は理論年収の20〜35%が一般的で、中途採用では1人あたり60〜120万円が目安です(厚生労働省『職業紹介事業報告』令和5年度 職種別手数料率)。複数名を採用する工場では、採用人数に比例して費用が積み上がります。
Q. 採用代行に頼むと、どこまでやってもらえますか?
A. 任せる範囲によって、媒体運用型・応募対応型・面談代行型(フルRPO)・人事採用コンサル型の4つに分かれます。範囲が広いほど工数は減りますが費用は上がり、ノウハウは社内に残りにくくなります。コネクトは媒体運用型で、応募を集めるところまでを担います。
Q. 自社の業種でも効果は出ますか?
A. 応募の母集団が一定ある職種(製造・保育・建設・販売・サービスなど)であれば、求人媒体の運用改善で応募増・コスト削減が見込めます。一方、医師や1級施工管理技士のように母集団が極小の職種は媒体運用では費用対効果が出にくいため向きません。(参考:成果報酬型で「応募が来ない」を変える採用の考え方)