求人を出しても応募が来ない、紹介会社に頼めば費用が重い——介護の採用は、この板挟みが常態化しやすい領域です。有効求人倍率の高さと人材紹介の普及が、そのまま採用コストの高さになって表れます。コネクトの支援先には、年間400万円規模を求人に投じても1年で採用1名(採用単価 約400万円/名)だった介護施設が、求人媒体の運用改善によって採用単価 約70万円/名まで改善した事例があります。テレビCM300万円・入社祝い金100万円のキャンペーンを打っても採用ゼロだった施設です。本記事では、介護職員の採用方法をチャネル別に整理し、費用を抑えて人を集めるための使い分けを解説します。
1. 介護職員の採用チャネルは4つに分かれる

採用方法を検討するときは、まずチャネルごとに費用の発生の仕方と母集団の性質を分けて把握します。ここを混ぜると比較ができません。
| チャネル | 費用の考え方 | 母集団の性質 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| ハローワーク | 掲載は無料。 | 地域の求職者。求人票の書式に制約がある。 | 地元採用・パート採用の下支え。 |
| 求人媒体の運用(Indeed・Airワーク等) | 無料掲載と有料掲載(クリック課金)。掲載を止めれば費用も止まる。 | 自社の求人を検索・閲覧した人。原稿と設計で母集団が変わる。 | 継続的に採用が必要/採用ノウハウを自社に残したい。 |
| 成果報酬型の専門媒体(ジョブメドレー・カイゴジョブ等) | 採用時に費用が発生。介護福祉士の下限は34万円(税抜)という水準が公表されている。 | 介護職に特化した登録者。 | 即戦力を確実に採りたい/自社での運用工数を抑えたい。 |
| 人材紹介エージェント | 採用決定時に理論年収の20〜35%。介護は常勤で89万円という水準の報告がある(常勤・一次未確認)。 | 紹介会社の登録者。自社では母集団を動かせない。 | 急ぎで欠員を埋めたい/単発の採用。 |
参考として、公的統計(令和5年度)で見た介護福祉士の1人あたり採用コストは55.1万円です。これはパート採用も含む全国の混在値です。職種別の紹介手数料率は介護20.2%と報告されています(出典:厚生労働省『職業紹介事業報告』令和5年度 職種別手数料率)。
専門媒体の各社サイトは、ジョブメドレー(企業向け)、カイゴジョブ(企業向け)、キャリオス ワーク(旧 介護求人ナビ)などです。料金は変動するため、最新の条件は各社にお問い合わせください。
2. 費用の順番と、依存の順番は逆になりやすい

1人あたりの費用は、ハローワーク・求人媒体の運用が下側、成果報酬型の専門媒体が中間、人材紹介が上側に来るのが一般的です。ところが実務では、応募が来ないほど「確実に採れる」チャネルへ寄っていくため、費用の高いチャネルへの依存が進みます。
この流れを止めるには、費用の低いチャネルを「使っている」状態から「機能している」状態へ引き上げる必要があります。求人媒体に掲載しているのに応募が来ない、という状態のまま紹介に頼り続けると、コストは下がりません。
3.【事例】採用単価 約400万円/名を約70万円/名へ

ビフォーアフター:採用単価 約400万円/名 → 約70万円/名(有料広告費用ベース・運用累計)。
| コネクトの支援先|四国地方の地方都市の介護施設(高介護度)/施設看護師・介護士(正社員) |
| Before(導入前):年間400万円規模を求人に投下しても、1年で応募6件・採用1名。テレビCM300万円・入社祝い金100万円のキャンペーンを打っても採用ゼロだった。当該地域の介護職の有効求人倍率は約3.6倍で、求職者の多くが人材紹介会社経由で動く市場だった。 After(媒体運用の改善後):採用LP・動画の制作と求人原稿の継続改善により、応募が月1件から月2〜3件へ。運用累計で応募51件(有料広告費用¥2,111,827・応募単価¥46,929)、採用3名(うち1名が定着)。有料広告費用ベースの採用単価は約70万円/名。 |
成功したポイントは次の3つです。
- もともと手厚かった待遇を可視化した。この施設は介護依存度が高く従業員の負担が大きいぶん、看護師 月給36.2万円〜(当該地域の介護施設看護師相場の約1.5倍)、介護士 月給32.6万円〜という給与水準で、提携保育園も完全無料。この条件が求職者に伝わっていなかった。良い条件は、あるだけでは応募になりません。
- 看護師には「介護施設で看護師として働くとは何か」を具体的に描いた。病院・クリニックの経験者は多い一方、介護施設での勤務経験者は相対的に少なく、働き方が想像できずに検討段階で離脱していたためです。
- 介護士には「大手施設のように流れ作業になりがちな環境ではなく、丁寧に向き合える介護ができる × 給与も高い」という対比を軸に据え、人数ではなく質の高い層からの応募を狙った。
一方で、看護師・介護士はともに売り手市場で人材紹介が主流のため、媒体経由で質の高い人材を費用対効果高く取り続けることには構造的な難しさがあります。採用3名のうち2名は早期に離職しており、処遇・受け入れ体制まで踏み込めればさらなる伸び代がある段階です。
4. 媒体運用が合うケース・合わないケース

すべての施設に求人媒体の運用が向くわけではありません。正直に切り分けます。
- 媒体運用が合うケース:中長期で費用対効果の高い採用チャネルを育てたい/人材紹介だけに依存したくない/継続的に複数名を採用する予定がある。
- 成果報酬型の専門媒体の併用を検討したいケース:即戦力で質の高い人材を確実に採りたい/社内に運用の工数を割けない。
- 人材紹介が現実的なケース:欠員が急務で、期限が明確に決まっている。
どのチャネルを選ぶかは施設の状況次第です。無理に媒体運用へ寄せるより、複数チャネルを併用しながら「1人あたりの採用単価」で毎月比較するほうが、結果として費用は下がります。
5. 費用を抑えて人を集める実践策

- 直近1年の採用費を、媒体費・紹介手数料・社内工数に分解する。職種別に1人あたりの採用単価を出します。
- 自施設の待遇を、同エリアの他施設と並べて比較する。相場より良い項目があれば、それが最大の訴求材料です。
- その待遇を求人票と画像で見える形にする。給与だけでなく、保育園・住宅補助・シフトの融通といった条件も具体的に書きます。
- 職種ごとに求職者のつまずきを潰す。看護師なら「介護施設での看護師業務の中身」、介護士なら「一人ひとりにどこまで向き合えるか」を描きます。
- 応募後の返信を当日中に行う運用を決める。求職者は3〜5社に同時応募するのが標準です。
- 毎月、チャネル別に応募数・面談数・採用数・採用単価を記録する。数字が残れば、翌年の予算配分の根拠になります。
まとめ
介護職員の採用方法の要点は次のとおりです。
- チャネルは4つに分けて把握する:ハローワーク/求人媒体の運用/成果報酬型の専門媒体/人材紹介。費用と母集団が違う。
- 費用の低いチャネルを機能させる:掲載しているだけの状態では、紹介への依存は下がらない。
- 待遇は可視化して初めて効く:相場の約1.5倍の給与と保育園完全無料という条件が、伝わっていなかった。
- 採用単価は大きく動く:約400万円/名から約70万円/名へ改善した実績がある。
- 合わないケースは正直に切り分ける:即戦力を確実に採りたい場合は成果報酬型の専門媒体の併用も検討する。
介護の採用は、市場が厳しいこと自体は変えられません。だからこそ、チャネルごとの採用単価を毎月記録し、費用の使い先を数字で決めることが効いてきます。
人材紹介の60〜120万を、面談着座8万に。
ジョブコネクトは、求人媒体の運用代行で応募を集めるところまでを担う採用支援です(応募者への連絡・面談はお客様側で実施いただきます)。費用は「採れなければ費用ゼロ」の面談着座成果報酬で、面談着座1件あたりパート3万円/正社員8万円から。初期費用・月額固定費はかかりません。まずは施設の待遇のうち「同エリアで相場より良い項目」を一緒に洗い出しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 介護職員の採用にかかる費用の相場はいくらですか?
A. チャネルによって大きく変わります。公的統計(令和5年度)で見た介護福祉士の1人あたり採用コストは55.1万円(パート込みの混在値)、成果報酬型の求人サイトでは介護福祉士の下限が34万円(税抜)という水準が公表されており、人材紹介エージェントでは常勤で89万円という報告があります(常勤・一次未確認)。チャネルを混ぜずに比較することが重要です。
Q. 人材紹介を使わずに介護職員を採用できますか?
A. 可能なケースがあります。コネクトの支援先では、年間400万円規模で採用1名だった施設が、求人媒体の運用改善により応募が継続発生し採用3名、採用単価は約400万円/名から約70万円/名まで改善しました。ただし介護は売り手市場で人材紹介が主流のため、媒体だけで質の高い人材を取り続けることには構造的な難しさもあります。
Q. 給与が高くないと応募は来ませんか?
A. 給与水準は大きな要素ですが、それ以前に「今の待遇が求職者に伝わっているか」を確認してください。上記の施設は相場の約1.5倍の給与と提携保育園の完全無料という条件を持ちながら、それが伝わっていませんでした。可視化しただけで応募が動くことは珍しくありません。
Q. 自社の業種でも効果は出ますか?
A. 応募の母集団が一定ある職種(製造・保育・建設・販売・サービスなど)であれば、求人媒体の運用改善で応募増・コスト削減が見込めます。一方、医師や1級施工管理技士のように母集団が極小の職種は媒体運用では費用対効果が出にくいため向きません。(参考:定着率と応募数を同時に上げる採用支援の新常識)